お腹いっぱいなのに食欲が止まらない4つの原因と対処方法
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない場合は、様々な原因が考えられます。
今回の記事では、お腹いっぱいなのにそれでも食べてしまうと深刻に悩んでいる人の為に、その原因と対処方法を解説していきます。
今回の記事については、空腹感からくる食欲ではなく、すでにお腹いっぱいだと感じてるのに、それでも食べたくなってしまうという人向けの記事となります。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因には大きく分けて4つの原因があります。
- 自律神経の乱れ
- 生理前・妊娠中
- 糖質・甘味料の取りすぎ
- 精神疾患(過食症等)
それぞれについてみていきましょう。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因①自律神経の乱れ
まず満腹なのに食べてしまう人で最も多くの人が当てはまると考えられる原因は自律神経の乱れです。
自律神経とは、活動的な場面で優位になる交感神経と睡眠時やリラックス状態で優位になる副交感神経の2種類があります。自律神経が乱れると、交感神経と副交感神経の切り替わりが安定せず、身体に対して様々な影響を及ぼします。
食欲に関しても自律神経が大きく影響しています。
自律神経で交感神経が良く働いている場合は、食欲が抑えられ、逆に副交感神経が働いている場合は、食欲が増進します。
自律神経の乱れは様々な原因で起こります。
- 過度なストレス
- 睡眠不足
- 昼夜逆転の生活
- 栄養不足
- 妊娠
- 更年期
いずれも自律神経を乱れさせて、食欲のコントロールに少なからず影響を与えてしまいます。
上記のどれかに当てはまる人は、十中八九、そのことが原因で食欲のコントロールが効かなくなっていると考えてよいでしょう。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因②糖質や甘味料の取りすぎ
2つ目に考えられる食欲が止まらない原因は、糖質や甘味料の取りすぎです。糖質や人工甘味料などのいわゆる「甘み」を摂取すると、脳内でドーパミンが分泌され、幸福感を感じることになります。程よい摂取なら問題有りませんが、この「甘味」には中毒性があるとされており、摂取すればするほど「もっと食べたい」「もっと飲みたい」という気持ちが強くなります。
その依存性は侮れるものではなく、ある実験においては、コカインなどの麻薬よりも依存性が高いことが分かっています。
最も注意すべきは人工甘味料
甘味の中で最も注意すべきは、人工甘味料です。最近では多くの飲み物に人工甘味料が使われています。
特に気を付けたいのは、ゼロカロリー系飲料に含まれる人工甘味料です。
ゼロカロリー系の飲み物に含まれる人工甘味料はわずかな量でも甘みを感じることができるほど、強い甘みを持ちます。その糖度は通常の砂糖の100~200倍になることも。
わずかな量でも甘みを感じさせることができるため、少量に抑えてほぼカロリーゼロにすることができ、ダイエット系飲料に多用されています。
実際にごく少量しか使われていないため、ほぼゼロカロリーであるは間違いないのですが、問題はその強い甘みであり、脳の神経系を乱れさせるリスクが高いのです。
ゼロカロリーだからといって、大量に摂取していると、甘味反応によるドーパミンの大量分泌により、食欲が止まらないという事態を招いてしまう可能性があります。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因③生理前・妊娠中
これは女性だけに当てはまる原因ですが、生理前は女性ホルモンのバランスが大きく変わり、そのことで脳内成分の様々な変化も起こります。
女性ホルモンの中でも生理前の食欲に強く影響すると言われているのがプロゲステロンという女性ホルモンです。
プロゲステロンは生理前に分泌量が増えますが、この影響により脳内成分のセロトニンが減少します。
セロトニンは精神の安定をもたらすホルモンであると同時に食欲を抑えるホルモンでもあります。
生理前にプロゲステロンが上昇し、セロトニンが減少すると、食欲が抑えにくくなります。
また食事をすることによって、一時的にセロトニンが上昇するため、食べて心を落ち着かせようとする気持ちが強くなります。
同じ症状は妊娠中にも起きる
プロゲステロンの増加は、妊娠初期にも起こります。妊娠初期にプロゲステロンの量が増加すると、セロトニン量が減少し、食欲に歯止めがかからなくなったり、食べて心を落ち着けようとするといわゆる「食べづわり」が起きます。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因④精神疾患
4つ目に考えられる原因は、精神疾患です。一つ目に取り上げた自律神経の乱れが悪化して、何らかの精神疾患を起こしているケースや、その他のことが原因で起こる精神疾患が原因で過食になってしまうケースがあります。
食欲が止まらないというだけでは、どのような精神疾患を患っているのかは分かりませんが、精神疾患が満腹感や空腹感を調整する身体の機能に影響を与えて、その結果として食欲が抑えられなくなるということは十分に考えられます。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない時の対処方法
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない場合には、食欲を我慢するということ自体が難しいため、食事量以外のことから対処していく必要があります。
主な対処方法は4つです。
- 食欲が止まらなくても栄養バランスを整える
- しっかりと睡眠をとる
- 適度な運動をする
- 食欲が止まらないことを責め過ぎない
食欲が止まらない時の対処方法①栄養バランスを整える
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない場合は、食事制限自体が難しい状態となっています。その場合は、まず栄養バランスから整えていきましょう。
食事量が抑制できなくても、何を食べるかを意識して選ぶことによって、身体が健康な状態に近づき、食欲に徐々に歯止めをかけるきっかけを作っていきます。
厚生労働省が示す三大栄養素のバランスは、
- タンパク質:13~20%
- 脂質:20~20%
- 炭水化物(糖質):50~65%
となっています。
炭水化物は解説したように次なる食欲を呼び起こしやすいものでもあるため、50%程度に少し控えめにして、足りない分をタンパク質や脂質で補うようにしましょう。
甘味料やジャンクフードをなるべく避ける
栄養バランスを整えるうえで重要なのは、甘味料が多く含まれるものや、ジャンクフードを含むものをなるべく避けるということです。
同じ糖質や脂質でも種類があり、甘味料が多く含まれる食べ物には、非常に吸収の早い単糖類や人工甘味料が含まれていたり、ジャンクフードの中には、身体に害の多い脂肪酸が多く含まれています。
同じ糖質や脂質を摂取するにしても、比較的吸収の遅い、多糖類(ごはんやイモなど)で摂取するようにしたり、ジャンクフードなどではなく、魚、乳製品に含まれる良質な脂質を摂取するように心がけましょう。
栄養は清涼飲料水やデザート、ジャンクフードから摂取するのではなく、きっちりと食事の中で十分な量を補うようにするということが大切です。
生理前・妊娠中におすすめの食べ物
生理前や妊娠中に食べ過ぎが止まらないという人は、栄養バランスを整えたうえで、セロトニンを分泌しやすくする食べ物がおすすめです。
セロトニンの生成に必要な成分は主に、トリプトファンとビタミンB6です。
これらの栄養を効率的に補えるのは、
- バナナ
- 乳製品
- 大豆製品
- 卵
- 魚(かつお、まぐろなど)
です。
上記のような食材を補うようにすると比較的セロトニンが分泌されやすく、症状が落ち着きやすくなります。
ただし生理前や妊娠中などに食欲が増進するという方は、時期的な生理現象としてある程度許容しなければ辛くなることもあります。身体のリズムとして食欲が増進するのは健康的な証でもあり、食べ過ぎを完全になくすというよりも、心に余裕を持ち、少しぐらいの食べ過ぎは今は仕方ないと割り切ることも大切でしょう。
食べ過ぎることがあっても、太りすぎなければOKというぐらいの楽な気持ちでいましょう。
食欲が止まらない時の対処方法②十分な睡眠
食欲が止まらない人の多くは、自律神経系に何らかの異常が起こっている場合が多いです。疾患とまではいかなくてもストレスなどで自律神経が乱れがちになることで、食欲が乱れてしまいます。
自律神経を整えるうえで最も重要なのは、睡眠です。
十分で良質な睡眠をしっかりとることで、交感神経、副交感神経の切り替えが安定しやすくなり、食欲を改善することができます。
良質な睡眠を得るうえでできる対策としては、
- 朝しっかりと日光を浴びる
- 夕方ごろから睡眠に向けて徐々に部屋を暗くする
- 寝る前に強い光を浴びない(スマホなど)
- アルコールを控える
- パジャマなど寝るとき専用の服を用意する
- お風呂ではお湯にしっかりとつかる
- 寝る前に簡単なストレッチを行う
睡眠を確保する時間が変わらなくても、上記の対策を行うことで、寝つきが良くなり、深く良質な睡眠を得られるようになります。
特に日光を浴びることはセロトニンの分泌においても非常に重要なので、朝にしっかり太陽の光を浴びることを日課として取り入れるようにしましょう。
食欲が止まらない時の対処方法③適度な運動
適度な運動を習慣として取り入れることで、食欲が改善する場合があります。今回の場合のように食欲を改善するための運動は、食べた分のカロリーを消費するために行うものではなく、自律神経を整えるための対策として行います。
したがって、食べた分を取り返すほど運動を行う必要はありません。自分が気持ちよいと感じられる程度の軽い運動、場合によってはストレッチやラジオ体操などの非常に簡単な運動でも構いません。
日常的な運動を習慣づけることにより、自律神経が整い、食欲が抑えられやすくなります。
過度な運動は控える
食べた分のカロリーを消費するために運動を行うと、途方もない量の運動を毎日続けなければならないことになり、状況が悪化してしまいます。食欲がさらに大きくなり、食べる量にさらに歯止めが利かなくなる可能性もあります。
運動はあくまでも適度で毎日続けられる程度に、食事量に関わらず、決まったメニューを淡々とこなして、それによって太っているか痩せているかは考えないことが大切です。
食欲が止まらない時の対処方法④食欲を責め過ぎない
食欲が止まらない人の多くは、どうしても食べ過ぎてしまう自分を責め過ぎる傾向があります。
なんでこんなに自分に甘いんだろうと自己嫌悪に陥ることで、それ自体がストレスになり、状況を悪化させてしまうことにもなってしまいます。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらないというのは、自分の意識で制御できる範疇を超えている状況となっていますので、自己嫌悪に陥る必要は全くありません。
栄養バランスなど食事量以外のことから見直していくことで、食欲を抑えていき、最終的に自分の意志で食欲をコントロールできる状態までもっていくことが大切です。
今自分を責め過ぎても全くメリットがありません。上記で解説したような、食事量以外の対策方法をしっかりと実行していきましょう。
それでも食欲が止まらない場合は
今回紹介した上記のような対策を講じたうえで、2週間から1ヶ月経っても一向に食欲が変わらない、食欲が止まらなくて精神的にも辛いという状況が続く場合は、何らかの精神疾患を抱えている可能性があります。
自分が食べ過ぎる何らかの精神疾患になっているかを判断する上で重要なのは、「食べ過ぎによって精神的につらくなってしまうほど重症か」ということです。
食べ過ぎていても、諦めてしまえる人は精神疾患を抱えている可能性は少ないです。
食べ過ぎがとても辛いのに、なぜか食べてしまうという人は、一度心療内科を受診されることをおすすめします。
お腹いっぱいなのに食欲が止まらない原因と対策-まとめ
いかがでしたか?
今回は、空腹が原因で食欲が止まらない場合ではなく、すでに満腹なのにそれでも食べてしまう人の対策方法を解説しました。食事量のコントロールが難しい状況でも、栄養バランス、睡眠、運動を適切にすることで、状況が改善する可能性があります。また今回解説した内容でも状況が変わらないという人は、一度心療内科を受診してみてお医者さんに適切な診断をしてもらいましょう。