更年期でどんどん太る。いつまでも続く肥満を解消する方法
更年期にさしかかり徐々に太り始めるという人は、非常に多いですね。体重増加が止まらなくてどうしたらいいの!?と悩んでいる人もいます。
歳を重ねると様々な要因で太り始めますが、更年期もその大きな原因の一つです。
通常ダイエットにおいては、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが基本中の基本ですが、更年期太りにおいては、カロリーバランスだけではない原因があります。
今回の記事では、
- 更年期太りの主な2つの原因
- 更年期太りはいつまで続くのか
- 更年期太りの解消方法(食事・運動・睡眠について)
- 更年期に効くサプリや漢方は?
という内容で、更年期太りの悩みについて、その原因と解消方法を網羅的に解説してきます。
更年期に差し掛かった自分の身体をよく知り、むやみなダイエットをせず、適切な対処を行っていきましょう。
<この記事の参考>
更年期太りの原因は?
更年期で太る原因は、主にホルモンバランスの変化によっておこります。特に女性は、更年期にさしかかると女性ホルモンのバランスに大きな変化が起こり、それが太る原因となります。
最近では男性にも更年期障害が起こるということが一般的になっていますが、女性は閉経によって急激に女性ホルモンのバランスが変わるため、その影響が特に顕著になります。
更年期で太る原因は主にホルモンバランスの変化によるものですが、ホルモンバランスの変化がどのように体型に影響し、太るのかということを少々解説していきます。
更年期で太る原因①脂肪の蓄積による体重増加
更年期太りは、通常の肥満とは少し異なり、ホルモンバランスの変化が大きな要因の一つです。特に女性は女性ホルモンが急激に減ることで、女性ホルモンの一つエストロゲンによる内臓脂肪蓄積阻害効果も減少するため、食生活に何ら変化がなくても急激に太りやすくなるということが言えます。
また男性の更年期においては、男性ホルモンの低下が脂肪蓄積に作用します。男性ホルモンの一つテストステロンにはエネルギー代謝を高める効果がありますが、テストステロンの減少により、エネルギー代謝能力が低下するため、体脂肪や内臓脂肪が蓄積しやすくなります。
インスリン抵抗性
ホルモンが減少することで、エネルギー代謝能力が低下したり、脂肪が蓄積しやすくなるということが置きますが、インスリン抵抗性によっても太りやすくなります。
若いころと同じように糖質を摂取していると、インスリン抵抗性によって、糖が脂質に変わりやすい状態になっています。
更年期で太る原因②体型がキープできなくなる
更年期の肥満は、脂肪蓄積による体重増加だけが原因ではありません。体重がまったく増えていなかったとしても、体型が徐々に肥満体型に近づくいていくことがあります。
女性の場合
女性の場合は、女性ホルモンが女性らしい体型を形作る役割を果たしていますが、更年期に差し掛かり女性ホルモンが低下すると、これまでキープできていた女性らしい体型がキープできなくなります。
女性ホルモンが多い状態では、胸やお尻、脚に脂肪が集中しやすくなりますが、女性ホルモンが低下することで、胸やお尻に集まっていた脂肪が、徐々に全体に引き延ばされるようになり、体脂肪率や体重が全く変わっていなかったとしても、お腹回りに脂肪がつきやすくなります。
男性の場合
男性の場合は、男性ホルモンが低下することでエネルギー代謝量が減るのと同時に、筋肉量もおちてきます。筋肉量が減ると、男性らしい胸板や腹筋、腕の筋肉などを中心に低下していき、その影響で手足はそこまで太っていないのに、お腹だけがぽっこり出てしまっているような太り方になります。
女性と男性で更年期で太る原因には違いがありますが、共通しているのは、ホルモンバランスの変化によって実際に体重が増えやすくなるのと同時に、そもそもの体型自体が肥満の体型に近づくということです。
更年期太りはいつまで続く?
更年期で太る原因は分かったけど、いつまで太り続けるのか心配されている方も多いことでしょう。
結論から言うと、更年期太りの主な原因はホルモンバランスの変化によるものであり、これを根本的に解消することができないため、放置するとさらに太りやすくなるということが言えます。
女性においても、男性においても、歳を重ねるごとにホルモンは低下の一途をたどるため、生活を改善しない限りは、どんどん太っていきます。
女性の場合は、閉経という明確な分岐点があるため、40代~50代の更年期を超えれば、更年期太りは治まると思っている人がいますが、実質的には、それ以降もホルモンバランスが元に戻ることはなく、肥満は進行しやすくなり続けます。
ただし、女性においても男性においても更年期だから痩せることができないというわけではありません。
しっかり対策を行えば、更年期太りを解消することは可能です。
更年期太りを解消する方法
更年期は、通常の肥満とは違いホルモンバランスが大きく影響しているという話をしましたが、解消方法がないわけではありません。ホルモンバランスを若いころのように戻すことは不可能ですが、若いころとそん色ない体型をキープすることは可能です。
ただ若いころのように無理なダイエットは意味がないと思っておいた方がよいでしょう。
脂肪さえ減らせばよかった若いころと違い、更年期のダイエットでは、10年、20年先を見据えた、根本的な生活の改善が必要になります。
更年期太りを解消するためには、
- 食事
- 運動
- 睡眠
この3つの柱から総合的にアプローチすることが重要です。
更年期太りを解消する方法-食事について
まずは食事についてです。ホルモンバランスを安定・維持させるための最重要項目といえます。
単に食事制限をするだけでは、若いころのように痩せられません。しっかりとホルモンの生成を意識した食生活を送ることが大切です。
まずは厚生労働省の示す値を参考に栄養バランスを見直します。ホルモンバランスは何か一つの栄養素を集中的に補えば改善されるものではないからです。
厚生労働省が示す理想的な栄養バランスは次の通りです。
- タンパク質:13~20%
- 脂質:20~30%
- 炭水化物:50~65%
更年期太りを解消する食事①炭水化物(糖質)は少なめに
栄養バランスとして着目したいのは、糖質を少なめに設定するということです。糖質は身体を動かすうえで、非常に重要なエネルギー源ですが、更年期に差し掛かると糖質代謝能力が下がります。
具体的には、女性ホルモン、男性ホルモンの低下によってインスリン抵抗性になりやすくなります。インスリン抵抗性とは血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンが効きにくくなっている状態のことです。
インスリン抵抗性になると、糖を摂取してもインスリンが効きにくいため、大量のインスリンが分泌される状態になります。インスリンには、血糖値を下げる機能の他、脂肪を合成を活性化する働きもあります。
少しの糖でもインスリンが大量に分泌されるようになるため、脂肪が合成されやすくなるということです。
更年期に差し掛かる男女は、インスリンの効きが弱くなっていることを考慮して、炭水化物、糖質を控えめにするというのがポイントです。
ただしまったく摂取しないものまた健康に良くないため、最低限の糖質量に抑えるというのがポイントになります。
更年期に差し掛かった男女の糖代謝能力を加味すると、炭水化物を少なめにした以下のようなバランスが理想的です。
- タンパク質:20%
- 脂質:30%
- 炭水化物:50%
更年期太りを解消する食事②食物繊維を摂取する
更年期太りを解消する食事として意識したいこと2点目は、食物繊維の摂取です。これは先ほど、申し上げた炭水化物量を制限することと関連しています。
炭水化物量を抑制することによって、必然的に食物繊維量も少なくなります。更年期の方にとって炭水化物を控えめにすることは重要ですが、それと同時に食物繊維量も下がってしまってはよくありません。
食物繊維が減り、タンパク質や脂質が多くなると腸内環境が悪化して、これも内臓脂肪が蓄積しやすい原因となるからです。
糖質を取らずに食物繊維をうまく摂取するためには、海藻類、きのこ、豆類などがおすすめです。これらの食材は比較的低カロリーで糖質をあまり含まず、さらには、通常の葉野菜などより5倍~20倍程度の食物繊維が含まれているため、効率的に食物繊維を補いたい更年期のダイエットに非常に向いています。
これまで糖質中心の食生活だった人は、海藻、きのこ、豆類を中心とした食生活に一新されることをおすすめします。
更年期太りを解消する食事③ホルモンをつくる食べ物を摂取
年齢に抗いホルモンバランスを若いころと同じように戻すことは難しいですが、できるだけその低下を抑えて、女性ホルモン、男性ホルモンを維持するように働きかけることは可能です。
女性、男性ともに全体的な栄養バランスをよくすることがホルモンをつくるうえで非常に重要なのは同じですが、性別ごとに特に意識していきたい栄養素をご紹介します。
<女性ホルモンによい食材・栄養素>
女性ホルモンをつくるうえでは、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することが重要ですが、中でも鉄分の補給場非常に重要です。体内に鉄分が不足すると女性ホルモンの生成が滞りがちになります。
鉄を多く含む食材は、
- 肉類のレバー
- 小松菜
- ほうれんそう
- 枝豆
- 貝類
などです。全体の栄養バランスを鑑みたうえで、上記のような食材を積極的に補うとよいでしょう。
大豆も効果的
女性ホルモンを根本的に増やす食材ではありませんが、大豆もおすすめです。大豆に含まれる大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをすることが知られており、女性ホルモンの働きをサポートしてくれます。大豆食品ならば大豆イソフラボンが含まれているので、お豆腐、納豆などを積極的に食べるようにしましょう。
<男性ホルモンによい食材・栄養素>
男性ホルモンをつくるうえでキーとなってくる栄養素は亜鉛です。男性に関しても全体的な栄養バランスを整えたうえで補うというのが前提になります。
亜鉛を多く含む食材は、
- 貝類
- 魚介類
- 肉類のレバー
- ナッツ類
です。
更年期太りを解消する食事④アルコールを控える
男女ともに更年期に差し掛かった方は、アルコールの量を控えめにした方がよいでしょう。アルコールは男性ホルモンと女性ホルモンの両方の働きを低下させます。
特に女性は、女性ホルモンの働きが弱くなっている中で、アルコール量が変わらない場合は、脂肪蓄積がさらに加速しやすくなります。
若いころと飲酒量がさほど変わっていない人は、更年期に差し掛かったことをきっかけに飲酒の習慣を見直した方が良いでしょう。
理想的な飲酒量は一日ビール1缶(350ml)程度です。
さすがに少なすぎるという人でも、徐々に飲酒量を減らしていき、年齢に見合った飲酒習慣に切り替えるように努力してみましょう。
更年期太りを解消する食事⑤無理なカロリー制限をしない
更年期太りを解消する上でも、カロリー管理は非常に大切ですが、それ以上に何を食べるかを意識していきたいところです。
更年期で太る原因は単純なカロリー過多でないことが多いです。量を気にすると同時に身体にとって何が健康的かを考え毎日の食事を選ぶことが、これまでよりも一層大切であるということを覚えておきましょう。
激しいカロリー制限をすれば痩せることはできても、身体の老化が加速し、ますます太りやすい身体に近づいていきます。女性の場合ですと骨粗鬆症などのリスクも跳ね上がり、老後に大きなダメージを残すこととなります。
今すぐ痩せたい!と思う人も多いでしょうが、絶対に無理なカロリー制限はしないようにしましょう。
更年期太りを解消する方法-運動について
つづいて運動についてです。
更年期太りを解消する上では、若いころのダイエットよりも一層運動の重要性が高まります。
特に男性は男性ホルモンの低下によって、筋肉量が減少し、エネルギー消費量や基礎代謝が低下します。
運動を積極的に取り入れること自体が男性ホルモンを上昇させることにもなりますし、基礎代謝を維持するのにも重要な役割を果たします。
更年期太り対策としてやるべき運動は筋トレ
痩せるためには様々な運動がありますが、絶対に取り入れるべきは、筋トレです。有酸素運動などを行っても良いのですが、更年期で太る根本的な原因を解消するためには、筋トレが最も効果的だからです。
筋トレを行うことにより、男性ならば男性ホルモンの上昇、筋肉量増加による基礎代謝の改善など有酸素運動では得られにくいメリットがあります。
女性においても、筋肉量の増加は非常に重要ですし、また前述したインスリン抵抗性の解消にも大きな効果があります。
更年期太りに効果的な筋トレメニュー
筋トレといっても専門性の高い知識は必要ありません。またジムに通う必要もありません。自宅でできる手軽な筋トレでも十分に効果を見込めます。
まずは、
- 腹筋
- 腕立て伏せ
- スクワット
これらの3つのメニューを生活習慣として定着させましょう。
<筋トレで重要なのはスピード>
更年期太り解消のための筋トレとして大切なのは、筋トレのスピードです。筋肉を増やすためには、ヨガやピラティスなどのゆっくりした動きでは効率が悪く、基礎代謝のアップにもつながりません。スピーディーな筋トレで、筋肉の中でも速筋系を鍛えることではじめて筋肥大が起こり、基礎代謝を改善していくことができるのです。
先ほど紹介した筋トレを長時間ダラダラ行うのではなく、3種目を5分以内にできるだけ早いスピードで行います。1種目当たり30秒~1分間のスパンで行うように心がけましょう。
ケガをしては元も子もないので、初めは10秒程度から始めて、徐々に数を増やしていくのがポイントです。
<筋トレのタイミングは食後がベスト>
筋トレを行うタイミングとしては食後がベストです。インスリン抵抗性が高まる更年期においては、食後の血糖値を安定させることが重要です。食後1時間程度を目安に筋トレを実施することで、糖を消費し血糖値が下がりやすくなります。
運動のカロリー消費量は気にしなくてよい
少しダイエットをやったことがある人なら、筋トレって消費カロリー少ないよね?と思うかもしれません。
確かに筋トレの消費カロリーはそれほど高くありません。今回紹介したメニューで言えば、数十キロカロリー程度です。消費カロリーだけを考えるなら、ランニングや縄跳びなどを行った方が効率的に見えます。
しかし、更年期太りの原因を解消するためには、何よりもまず筋肉量を上げることと、血糖値を安定させることが重要です。カロリー消費量は二の次です。
カロリー消費量を高めたい人は、自主的にランニング、ウォーキングなどを行っても良いですが、まずは運動する習慣を定着させることの方が大切です。これまで運動する習慣がなかった人が、突然ハードなメニューを設定すると、必ず挫折します。
まずは簡単で効果的な筋トレのメニューを習慣化させることを目標にした方が長期的な目線から考えた場合に、健康的で、更年期太りに対しても効果が高いです。
更年期太りを解消する方法-睡眠について
最後に睡眠についてです。
通常のダイエットにおいても睡眠は、食事と運動と同程度の重要度があります。更年期太りの対策としてはなおさら重要性が高まります。
更年期太りを解消するためには、ホルモンの安定が非常に重要ですが、睡眠はホルモンバランスを安定させるうえで非常に重要な役割を担っているからです。
良質な睡眠をとることにより、ストレスが解消しやすく自律神経も整いやすくなるため、女性ホルモンと男性ホルモンも安定して生成されやすくなります。
就寝時間よりも睡眠時間にこだわる
様々な健康サイトにおいて、10~2時に深い眠りについていたほうが良いとされることが多いですが、最も重要なのは、どれだけ睡眠をとっているかであり、就寝時間は二の次です。
仕事の都合上、夜起きていなければならない人も多いでしょう。どうしても夜型になってしまう人でもまずは、十分な睡眠時間を確保することを優先しましょう。
「早く寝ないといけない」ということが逆にプレッシャーになり、睡眠の質を下げてしまうことにつながってしまうからです。寝る時間は柔軟に調整しつつも、とにかく睡眠時間をしっかり確保することを心がけましょう。
時間よりも質にこだわる
就寝時間よりも、睡眠時間が重要であり、睡眠時間よりもさらに重要なのは、睡眠の質です。
どうしても長時間の睡眠時間が取れない人でも、睡眠の質を高めることで、ストレス発散や自律神経の安定、さらには女性ホルモン、男性ホルモンの安定へとつながり、更年期太りを効果的に解消することができます。
睡眠の質は少しの工夫で高めることができます。
- 夜に強い光(スマホ)を浴びない
- 起きたらしっかり日光を浴びる
- 日常的に運動を取り入れる
- 夕方ごろから徐々に部屋を暗くする
- カフェイン摂取量に気を付ける(コーヒー2~3杯までが理想)
- パジャマを着るなど眠るルーティンを固定する
これらのことを行うだけでも、睡眠の質は向上します。
ダイエットにおいて睡眠に着目する人は少ないですが、食事、運動と並ぶ最重要メニューの一つなので、ぜひ習慣として取り入れるようにしましょう。
更年期太りに効果的なサプリや漢方はある?
通常のダイエットにおいては、サプリメントの摂取を積極的におすすめしませんが、更年期が原因で太っている場合には、サプリや漢方が効果的に働くことがあります。
更年期には肥満以外の症状もありますよね。
更年期で太ってきた以外にも
- うつ症状
- 不安症
- 倦怠感・疲労感
- 発汗
- イライラ
などの症状がある人は、ホルモンバランスの変化が激しく起こっている最中である可能性が高いです。
市販のサプリや漢方で簡易的に対処する方法もありますが、適切に症状に対処しなければ全く効果が得られません。
肥満以外にも辛い症状がある人は、病院に行って適切な対処方法を知ることが大切です。
女性の場合なら、
- 更年期外来
- 女性外来
- 婦人科
男性の場合なら、
- 更年期外来
- 性欲の減退⇒泌尿器科
- 倦怠感・イライラ・うつ症状⇒心療内科
などを受診するとよいでしょう。
更年期太りはいつまで続く?効果的な解消方法-まとめ
いかがでしたか?
誰にとっても更年期は初めての経験であり、特に男性は更年期によって太っているということ自体に気づくことも難しい場合が多いです。
今回ご紹介した方法は、女性、男性を問わず更年期の方が特に意識して取り組みたい更年期太りの解消方法ですが、更年期以外のことが理由で太っている中年男性、女性にも効果があるダイエット方法となっています。
自分は更年期で太ってしまっているかも?と感じる方は、今回ご紹介した方法をまず実践してみましょう。
様々解説しましたが、要約すると、
- 更年期以降を見据えた栄耀バランスの調整
- ホルモン生成を意識した栄養を摂取
- 簡単な筋トレを習慣化する
という非常にシンプルな内容です。
更年期における肥満以外の症状も強い方は、病院へ行って的確な診断をしてもらうようにしましょう。